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活断層の定義と実際

活断層とは「最近の地質時代において繰り返し活動し、将来も活動すると考えられる断層」と定義される。

「最近」とは、ここ100万年ぐらいの時間で、「繰り返し」は1度ではないこと、「将来も」は、多分誰にも分からない。このように、実際のフィールドワークと定義がマッチしない場合、「おそらく活断層であろう」と結論付けることが多い。

私が経験した活断層調査は、まず断層の発見からだ。断層は「露頭」という場所で探す。露頭は、道路の切り割り、崖、川の両岸などにあるが、そもそも「さあ、見てください。私が断層です」というような教科書に載っている、わかりやすいものは殆ど無い。なぜなら、断層はしばしば破砕帯を伴い、崩れてしまっているから…。(※破砕帯とは、断層が動いた時に、こすれて崩れてしまった部分)
つまり、これぞ断層という場所は、めったに見られない。

そこで、少々経験のある調査者は、フィールドで地形を見る。この谷はどうしてできたのか。断層でできたのではないか、などを疑いながら、あちこちを見る。破砕帯はしばしば地下水が流れる場所になっているため、斜面に竹林があるかなども発見のきっかけとなる。(竹林は、水の豊富な場所にあることが多い)

そして断層のある場所の目鼻をつけると、川に注ぐ支流の枝沢を丹念に調べていく。大きな断層が谷地形を作っている場合は、しばしばその谷の最も低い場所(谷底)ではなく、中腹辺りに中心が走っていることが多い。だから枝沢を丹念に見ることで、断層の一部を発見できることもある。

そのようにして、幾つもの断片的な露頭情報を繫いで、断層線の情報を地図に記入していく。

さて、その断層が活断層であるかないかであるが、これがなかなか難しい。まず「最近動いたか?」であるが、その断層が第4紀の堆積物を動かしているかどうかで判定する。第4紀の堆積物とは、例えば川の堆積物、河岸段丘の堆積物、第4紀の火山噴出物などである。正確には年代測定で確認しなければならないが、フィールドでは、観察者の経験で判断する。経験豊かな観察者であれば、ほぼ正確に言い当てることができる。

断層を見つけて、第4紀の堆積物を動かしているか(断層が第4紀の堆積物まで及んでいるかどうか)で、分類していく事になる。

さて「繰り返し」はどうだろうか。幾つかの露頭で見られる同じ方向の断層(断層群)が、異なる年代で動いた証拠を、第4紀の堆積物を丹念に調べて判定することが多い。しかし、実際のフィールドでは、露頭の乏しい情報しか手にはいらないので、活断層である確率が高いと判断されれば、重機を入れて掘って見る。いわゆるトレンチ調査である。
綺麗に整形した斜面をミリ単位で調べることになるが、うまくいけば判定ができる(こともある)。

ついで「将来も動くか?」だが、もうフィールド調査はあまり役に立たない。なぜなら過去の履歴は野外に痕跡が残っているが、これから起こることはどこを探しても見つけられない。
そこで、机の上の作業に移る。まず、調べた活断層の長さ、深さ、方向などを地形図上に記入していく。複数の断層が交錯するので、それらをできる限り、綿密に記載していく。
これらに加えて、文献調査を行い、該当する地震情報を書き加える(ただし、文献情報はせいぜい過去数百年程度まで)
約100万年の間の地史を組み立て、その間の断層の形成状況、活動状況を推定する。また、地殻に加わる力学的な動き(プレートの動き)を考慮して、断層に加わる力を分析する。
このように多くの仮説やシミュレーションの結果を評価して、活断層の疑いが強いと判定する。

フィールドで見逃してしまえば抜け落ちるし、机の上で検討する材料が少なければ、判定ができない。また、原子力ムラの御用学者たちが行なってきたような雑で恣意的な論拠であれば、「これは活断層とはいえない」となり、原発敷地の活断層マップから消えてしまう。

そもそも”あぶくが集まったよな日本列島”に、断層のない地盤はどこにも存在しない。それをわかっていて原発を作ったのだから、読みの甘さか作り手の驕りであろう。
今更ながら、敷地内に活断層がある疑い…とか言われても、別に驚きはしない。むしろ、それを騒ぎにして、何を隠そうとしているのか、ということに気が回ってしまう。
危ない原発(要らない原発)を切り捨て、残したい原発を守ろうとしているのであろうか?
とにかく、泥縄しかしない厄介な連中である。
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コメント 2

tak

断層のフィールド調査のお話、興味深いです。
私もやってみたい...。

それはともかく、いまはGoogle earthという
便利なものがあります。私は以前から、浜岡原発
周辺の地形に興味を持っていて、Google earthで
見ています。(よろしければ、micyuさんも、ご覧になってください)

で、原発の東側と西側で急に勾配がかわっているうえ、
その延長線上の海中に、2本の不気味な溝が
口をあけています。

あれって、活断層じゃないんでしょうかね?
どう思われます?
(^^;

by tak (2012-05-09 15:24) 

micyu

takさん

浜岡原発のGoogle earthを拝見しています。確かに2本、ほんのちょっと見え隠れしている谷がありますね。
手元に海洋物理探査の資料を持っていませんので、なんともわかりませんが、きっとつながっているのかなー?

日本国内には、このような線構造がたくさんあります。四国の吉野川なんかはこの典型で、断層(規模が大きいと”構造線”とかいうようです)がそこかしこに走っていて、正直わけわかりません。

言ってみれば、乾き物(ナッツやせんべい)などを山と積んで、ユッサユッサ揺らすと、どこが崩れる?このピーナッツが落ちるかな?というレベルで、カラカラと落ちるか、どこかで引っかかって落ちてこないかを言い当てようとしているのと同じです。「活断層」という言葉を作っていかにも学問は進歩しているように店あかけていますが、よほど画期的な方法が見つからない限り、占いと変わりありません。
ところで、活断層って活魚の「活」ですよね。断層ってネガティブなイメージがありますが、「活」はポジティブなイメージ、その両者が1つの言葉になっているのですから、名前を決めた一のセンス、疑ってしまいます。
by micyu (2012-05-10 12:52) 

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